2023年04月03日
北大、アルツハイマー病原因因子抑制ペプチド発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 薬学研究院の鈴木利治特任教授らの研究グループはこのほど、脳内で分泌されるペプチドの一種「p3-Alcβ」が神経細胞中のミトコンドリアを活性化することにより、アルツハイマー病の原因因子を抑制することを見出したと発表した。

 日本を含む先進諸国では、高齢化による認知症患者の増加が社会問題となっている。2025年には、65 歳以上の認知症患者の約 700 万人のうち、60~70%がアルツハイマー病(AD)になると推定されている。

 血液中の薬剤は、脳に薬剤を作用させようとすると、血液脳関門(BBB)という強力なバリアによって通過を制限される。しかし、末梢投与された「p3-Alcβ」は、アルツハイマー病のマウスモデルのBBBを透過して、アルツハイマー病によって活性が低下したミトコンドリアを活性化させることが明らかになった。

 同研究により、有効で安価なアルツハイマー病治療薬の開発につながることが期待される。今後、同研究成果をもとに、経皮投与の製剤化および臨床試験へ向けた準備を進めていく方針だ。
なお、本研究成果は、2023年3月30日付の「EMBO Molecular Medicine」誌に掲載された。

<用語の解説>
◆「p3-Alcβ 」 : 神経特異的膜タンパク質 Alcadeinβ から α セクレターゼと γ セクレターゼの切断によって生じる主に37もしくは 40 アミノ酸の分泌性ペプチドをいう。


(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230331_pr.pdf