2023年04月06日 |
京大、次世代個別化医療「高ベネフィット」提唱 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学 白眉センターの井上浩輔 特定准教授らの研究グループは5日、最先端の機械学習モデルを応用して、高血圧診療における次世代の個別化医療戦略「高ベネフィット・アプローチ」の有用性を提唱した。 従来医療では、心血管疾患や死亡などの発生率の高い「高リスク患者」の治療を優先してきた。「高リスク」患者に注力するという意味で、高リスク・アプローチと呼んできた。 一方、近年は機械学習を応用し、個人レベルの治療効果を推定することができる。これにより治療効果の高い集団(高ベネフィット患者)にターゲットを絞ったアプローチが可能になってきた。今回、研究チームはこのアプローチを「高ベネフィット・アプローチ」と命名し、その有用性を検討してきた。 研究の結果、心血管イベント発症リスクの高い人(高リスク患者)が必ずしも厳格な降圧管理(収縮期血圧を120mmHg未満に下げる管理)による効果が高いわけではないことがわかった。また、高ベネフィット・アプローチによって治療集団を選んで介入することで、従来の高リスク・アプローチよりも患者集団全体で享受できる治療効果が5倍程度大きくなることが明らかとなった。 これにより、高ベネフィット・アプローチを応用することで、厳格な降圧管理を受けるべき個人を効率的に同定し、介入によって得られる効果を最大化できる可能性が示唆された。機械学習を応用した次世代の個別化医療の礎になると期待される。 本研究成果は4月4日、国際学術誌「International Journal of Epidemiology」にオンライン掲載された。 ニュースリリース https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2023-04/2304_Inoue-60884609eaea1f22eacda078d858705c.pdf |