2023年04月07日
東北大・本堂氏「コロナ対策と経済両立」の原理
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:東北大学

 新型コロナ感染症の流行の流れはようやく落着きを見せてきたが、東北大学理学研究科の本堂毅准教授は6日、「ロックダウンのようなこれまでの感染対策のみでは経済や財政が疲弊しかねない。感染症対策の要諦は、経済や財政との両立にある」との研究成果を発表した。

これまでの感染症対策と経済に関する研究では、生命と経済、双方への損害を少なくする方法がほとんど見つかっていなかったため、生命と経済のどちらかを重視するバランスの問題として捉えられ、二者択一的なものも少なくなかった。

 本堂准教授らは、理論物理学の方法論で費用便益分析と理論疫学を用いた解析を行い、感染拡大初期から適切な強度の対策を継続的・計画的に行えば、生命と経済、双方の損害を共に小さくできるとの研究結果を得た。

 この方策は、政府の新型コロナ対策「基本的対処方針」とは対照的で、現在の対処方針は、感染拡大初期では対策を留保し、感染が爆発的に拡大した段階で緊急事態宣言等による強い対策を取ろうとしているが、この対処方針は、生命と経済、双方の損害をむしろ大きくするとしている。

 本堂准教授らは、これまでも多くの場で、新型コロナウイルスの主たる感染経路が空気感染症であることを前提に、ウイルス対応としてマスク装着についての市民への速やかな周知と必要な制度的措置の実施を呼びかけてきた。
本研究成果は3月29日、「Journal of the Physical Society of Japan 」に掲載された。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_0406press_01web_infection.pdf