2023年04月12日
東北大、鉄触媒と酸素でペプチドをつなぐ反応開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

 アミノ酸の一種であるトリプトファンは、自然界で二量化という化学反応を起こすことが知られている。カビなどの微生物は、医薬品として有用な活性を示す化合物をこの反応を利用して産出している。

 東北大学薬学研究科の徳山英利教授らの研究グループは11日、トリプトファン部位で結合するペプチドの画期的な二量化法の開発に成功したと発表した。生体酵素をヒントにした鉄触媒を用いることで、単純なトリプトファンから生理活性オリゴペプチドまで、幅広い化合物を無保護のまま用いて二量化できる、従来にはない画期的反応を確立した。
 
 この手法は酸素を酸化剤として、低毒性かつ天然に豊富な鉄を有する触媒を用いており環境調和性に優れている。従来の常識では考えられなかった無保護のペプチドの二量化の実現は、今後の創薬研究の発展や病理学的メカニズムの解明に繋がると期待される。

 同研究の成果は、ドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」(23年3月24日)にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆二量化反応:2つの同一または類似の分子が新たな結合を形成して連結する反応。

(詳細)
 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220411_01web_fe.pdf