2023年04月17日 |
九大、植物を枯らさず成長を抑制する化合物開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
雑草の管理は宅地や道路、線路など多方面にわたるが、環境保全の問題もあり、除草剤を使って枯死させるだけでは根本的な解決策とはいえない。適度な緑化を維持しつつ雑草の増殖を抑制することが望ましい。 九州大学先導物質化学研究所の新藤充教授らの研究グループはこのほど、ユキヤナギ由来のアレロケミカル(植物の個体間に作用する化学物質)の研究過程で、シス桂皮酸の成長制御抑制作用を発見し、この化学構造を変換して、成長抑制を伴うことなく根が重力向へ向かう活性を阻害する化合物BMA の開発に成功した。 さらに作用機構解析から、BMA は植物ホルモンであるオーキシンの制御に影響を与えるが、従来の(成長に対する毒性も伴う)オーキシン関連の阻害剤とは作用機構が異なることを突き止めた。 BMA によって根は地中深く潜らず根張りが浅くなると考えられ、養分や水分の吸収が抑えられると予想される。一方で根の成長は抑制されないため、環境調和型抑草剤としての利用が期待できる。さらに、水分吸収の抑制で甘みを増す野菜類の成長調節剤としての活用も期待できる。 同成果はSpringer Nature 社「 Scientific Reports 」(2023年3月30日)に掲載された。 <用語解説> ◆ シス桂皮酸とは : 植物(精油)成分によく含まれる桂皮酸の立体異性体。平館俊太郎前九大教授らがユキヤナギのアレロケミカルとしてシス桂皮酸配糖体を発見し突き止めた。 ニュースリリース https://www.kyushu-u.ac.jp/f/52356/23_0412_01.pdf |