2023年04月28日 |
東北大、超硫黄分子が細胞死を抑制する仕組み発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
細胞内に蓄積した変性タンパク質の凝集体は、「パータナトス」とよばれる非典型的なプログラム細胞死を惹起し、神経変性疾患の原因となる。そのため、パータナトス抑制因子の発見は新たな治療法開発に繋がる。また、近年、様々なストレスから細胞を保護する物質として、「超硫黄分子」が注目されている。超硫黄分子は細胞死を抑制し細胞を保護することが報告されているが、そのメカニズムにはまだ不明な点が多い。 東北大学薬学部の松沢厚教授らの研究グループは28日、超硫黄分子が神経変性疾患の原因となるパータナトスの強力な抑制剤となることを見出したと発表した。 超硫黄分子は、HSP90(HSF1の抑制因子)という分子を介してストレス応答転写因子HSF1を活性化し、さまざまなシャペロン分子を誘導する。その結果、タンパク質凝集体の分解が促進され、パータナトスが抑制される。 本研究は超硫黄分子によるパータナトス抑制効果に関する新知見であり、超硫黄分子が神経変性疾患の新たな治療ターゲットとなることが期待される。 同研究の成果は4月13日付科学雑誌「 The Journal of Biological Chemistry」に掲載された。 ◆ 超硫黄分子 : 硫黄原子が複数連なった分子の総称。生体内ではアミノ酸であるシステインや、タンパク質や抗酸化物質グルタチオンのシステイン残基上に豊富に存在する。通常のシステインに比べ反応性が高く、シグナル伝達や抗酸化反応に影響を与えることが知られている。 ニュースリリース https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press0428_04web.pdf |