2002年03月11日
セラミックス方式が開花、「自動車排ガス」浄化で新システム
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:トヨタ自動車

 トヨタグループはディーゼル車が排出する粒子状物質(PM)などの浄化について、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)使用の新システム(PRNR)を開発し、まず欧州市場の開発にのりだしたが、このシステムの中核技術となったセラミックスとその加工技術に関連業界の注目が集まっている。
 
 トヨタ自動車はデンソーと日本ガイシがそれぞれ開発したDPFに、トヨタ自動車とキャタラー社が共同開発したPM酸化性能をもつNOx吸蔵還元触媒を塗布しディーゼル・パティキュレートNOxリダクション(PRNR)システムをつくり上げた。
 
 排ガスに含まれるPMやNOx(窒素酸化物)などの有害物質を同時かつ連続的に浄化するというシステム。使用されるDPFは在来のコージェライト系セラミックスのフィルターを改良したものでPM(すすなど)を80~90%除去する。NOxの除去率も80%を超える。多孔質セラミックの気孔率と気孔分布を最適化したセラミックスの加工法、NOxを除去し、PMを1450℃の高温で燃焼させる。
 
 これまでにイビデンがシリコンカーバイドを使ってDPFを開発(いすゞと共同)、これは2000℃の高温に耐えるとされるが、コスト的な問題が残されている。デンソーと日本ガイシはDPFの大幅なコストダウンが可能としている。
 
 排気ガス規制に対する国内のトラック各社の動きは日野自が電動モーター併用のハイブリット車開発、三菱自が独ダイムラークライスラーからのPM削減技術導入、日産ディーゼルが圧縮天然ガス利用エンジン開発などを進めている。政府の次の排気ガス規制は2005年をめざしており、ここ1、2年は技術開発競争が激しくなる見通しである。
 
 なお、排気ガスの浄化で、このほど環境関連装置開発の東京電子サービス(岡本幹男社長、千葉県市原市)がNOx約40%、PMを90%以上削減する新システムを開発した。アクアクリーンPMと名づけられたこのシステムは水タンクとステンレス製の5層のフィルターで構成される。マフラーの後部に取り付ける。排気ガスが装置内の3ヵ所の壁に衝突して、水蒸気と合体、尿素を含むタンク内の水と接触してNOxが低減。PMも装置内の壁にぶつかり排圧と温度が下がったところでフィルターにかけ90%以上削減する。
 価格は2~4トン積みトラック用で20万円(走行約2万キロで交換)を予定している。
 PDFシステム装置が数10万円と試算されているのに比べ割安である。