2023年05月10日 |
沖縄漂着の軽石から新たな「噴火モデル」提案 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
海洋研究開発機構(JAMSTEC)火山地球内部研究センターの吉田健太副主任研究員らは10日、京都大学、東北大学などと共同で、南西諸島(沖縄・鹿児島)に漂着した福徳岡ノ場由来の噴火噴出物(軽石)のナノスケール分析を行い、黒色軽石部分が10-20nm程度の磁鉄鉱、100nm程度の黒雲母、300nm程度の単斜輝石のナノ粒子(ナノライト)を含んでいることを新たに見出したと発表した。 また、放射光分析によりガラス中の鉄の酸化還元状態を調べたところ、ナノ粒子を含む黒色軽石部分は、灰色軽石部分よりも鉄が酸化されていることが分かった。これらの分析結果と熱力学的な解析により、2021年の噴火の際、火山のマグマ溜まり内では地下深くから上昇してきた玄武岩マグマから水が供給されることで福徳岡ノ場のマグマ溜まりの一部が酸化されてナノ粒子が生じ、形成されたナノ粒子がマグマの発泡を促したことで爆発的な噴火に至ったことを明らかにした。 ナノ粒子形成と火山噴火現象の関わりについての研究は近年活発に行われているが、今回、ナノ粒子の鉱物種と形成条件を詳しく調べることで、これまでの通説だった、過冷却によるナノ粒子形成モデルとは異なる、マグマ溜まり内部でのナノ粒子形成が爆発的噴火の要因となる新しい噴火モデルを提案した。 本成果は「Scientific Reports」(5月9日付け)に掲載された。 (詳細) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press0510_01web_eruption.pdf |