2023年05月23日 |
九大、「COVID-19治療薬」副作用の仕組み解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として使われるレムデシビルについては、頻度は低いものの心機能への副作用として洞性徐脈や低血圧、QT時間延長といった症状が報告され、その影響が懸念されていた。しかし、その仕組みは不明だった。 九州大学、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)などの共同研究グループはこのほど、レムデシビルが心筋細胞に発現するウロテンシン受容体を活性化することで受容体応答を引き起こし、心機能に影響を与えることを発見したと発表した。 受容体を網羅的に探索することにより、レムデシビルが心筋細胞に発現するウロテンシン受容体を活性化することを見出した。ウロテンシン受容体経路を抑制することでレムデシビルの副作用を改善できる可能性を示した。 核酸の一種であるアデノシンが細胞膜上に存在する受容体を活性化することは古くから知られていたが、そのアナログ製剤であるレムデシビルの受容体活性については知られていなかった。 本研究で新たに明らかにした受容体経路を抑制することで、レムデシビル使用による副作用の改善が期待される。本研究結果は5月12日付科学誌「Communications Biology」に掲載された。 <用語の解説> ◆洞性徐脈 :心臓の拍動のリズムは正常ながら、脈が遅い状態。安静時の心電図で脈が50/分未満のものをいう。 ◆ QT時間 : 心電図における心室興奮の始まりから消退するまでの時間を指す。この時間が長くなると重篤な不整脈を発症する恐れがある。 ニュースリリース https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/926 |