2023年06月02日
北大、「効く」がん細胞の効果メカニズム解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 遺伝子病制御研究所の和田はるか准教授らの研究グループは1日、がん細胞ワクチンの、効果を示すメカニズムを明らかにすることに成功したと発表した。

 がん細胞そのものを用いるがん細胞ワクチン療法は、がん細胞を得ることができれば、理論上ほぼ全ての患者に適用できる治療法となり得るが、ごく一部を除きほとんどの例で有効性が見られなかった。またごく一部の効く場合でも、なぜ効くのかは不明なままだった。

 研究グループは、マウスのがん細胞株では非常に高いワクチン効果を示すものが複数存在することに着目し、ワクチン効果を示さないがん細胞株との比較解析を行うことで、ワクチンが効くメカニズムの解明に取り組んだ。

 その結果、ワクチン効果のあるがん細胞株では、自然免疫系に関係する複数の遺伝子の発現が高くなっていることが分かった。そこで、発現の高い特定の3つの遺伝子をワクチン効果のないがん細胞株に導入してワクチン療法を行うと、治療効果が得られるようになった。また、ワクチン効果の発揮にはインターフェロン-γ産生B細胞が重要であることも判明した。今回得られた研究成果は、今後のがん細胞ワクチンの開発に貢献すると期待される。
なお、同研究成果は、2023年5月22日公開の「OncoImmunology」誌に掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230601_pr.pdf