2023年06月07日 |
特定遺伝子の異常による「新規の免疫異常症」発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
私たちの体には、病原体から体を守るための様々な免疫の仕組みが備わっている。そのなかでRelAタンパクは、炎症や細胞増殖などの制御に重要な役割をはたすシグナル経路の構成因子の一つ。このタンパクをコードするRELA遺伝子の変異のうち、半量不全をきたす変異では皮膚や粘膜に潰瘍をつくる軽度の自己炎症疾患を引き起こすことが知られていたが、自己免疫性の血球減少や炎症性腸疾患など重症化する病型の原因は不明だった。 防衛医科大学校小児科の森谷邦彦助教らの研究グループはこのほど、周期性発熱や炎症性腸疾患、自己免疫性疾患などを合併したRelA異常症の5家系6症例を初めて同定した。 また、このRELA遺伝子変異が優性阻害効果を示すことと、この変異を持つ患者の血球細胞はI型インターフェロンを過剰産生することを突き止めた。今回の発見により、本症に対する効果的な治療薬の選択や、I型インターフェロン制御機構の解明につながることが期待される。 同研究成果は6月5日に医学専門誌「Journal of Experimental Medicine 」にオンライン掲載された。 <用語の解説> ■半量不全:両親からそれぞれ受け継いだ1組の遺伝子のうち、片方の遺伝子が失われ、正常なたんぱく質が半分しか存在しない状態。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230606_01web_rela.pdf |