2023年06月08日 |
東工大、世界最高プロトン伝導度 新物質創製 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:東京工業大学 |
東京工業大学 理学院の八島正知教授(化学系)らの研究グループはこのほど、中低温域で世界最高のプロトン(H+、水素イオン)伝導度を示す新物質Ba2LuAlO5を創製・発見したと発表した。さらに中性子回折データを用いた結晶構造や解析プロトン伝導機構を明らかにした。 現在実用化されている固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、動作温度が高いため、低コスト化と用途拡大のために、中低温域(300~600℃)で高いプロトン伝導度を示す材料が求められている。 従来の候補材料であるペロブスカイト型プロトン伝導体は、高い伝導度を実現するため化学置換が必要となる。一方、六方ペロブスカイト関連酸化物はこのところ、化学置換なしで比較的高いプロトン伝導度を示す新材料として注目されているが、プロトン伝導度が十分高くはなかった。 今回、研究グループは酸素空孔を大量に含む新しい材料の探索により、新物質Ba2LuAlO5を創製・発見した。この物質が六方ペロブスカイト関連酸化物であることが、結晶構造解析によって確認された。 化学置換していない同物質のプロトン伝導度を測定したところ、既知のセラミック材料よりも高かった。さらに第一原理分子動力学シミュレーションの結果から、化学置換しなくても、酸素空孔が大量に存在するBaO層で水和が起こるためプロトン濃度が高いことなども分かった。 同研究成果は6月6日に英ネイチャーの学術誌「Communications Materials」に掲載された。 <用語の解説> ■プロトン(H+、水素イオン)伝導度 :プロトンが伝導することによる電気伝導度。 ■Ba2LuAlO5 : バリウム、ルテチウム、アルミニウムおよび酸素から構成される酸化物。六方ペロブスカイト関連酸化物と呼ばれる物質群の1つ。 (ニュースリリース) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230607_01web_proton.pdf |