2023年06月15日
北大、氷河で流出した河川の流量を水音で測定
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学低温科学研究所の杉山慎教授らの研究グループは14日、グリーンランドの氷河から流出する河川で音響センサを使った測定を行い、河川の流量を音の大きさによって高精度に測定できることを明らかにした。

 北極グリーンランドでは、夏に氷河の融け水が川となって流れ出る。この河川の脇にセンサを設置して水音を測定したところ、音響シグナルの大きさと河川流量に極めて高い相関関係があることが判明した。
 
 通常、河川の流量を知るために、高価な装置を激しい水流の中に設置し、冷たい水の中で人力による測定が行われるが、今回提案する手法を使えば、安価で小さな装置を陸上に設置するだけで、長期間にわたって精度の良い流量観測が可能となる。
 
 そのような利点を活かして、音響センサを多数の氷河に展開して長期間の測定を行えば、氷や雪の融解が進む北極域の研究で大きな武器となる。また観測地では氷河の融解や大雨によって洪水災害が発生しており、そのメカニズムの理解や、災害対策への応用も期待できる。
 同研究成果は、4月26日公開の「Geophysical Research Letters」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230614_pr2.pdf