2023年07月04日 |
東北大、沈み込む海洋地殻の水の保持能力 解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学東北アジア研究センターの辻森 樹教授らの国際研究チームは3日、海洋プレートの沈み込み過程におけるローソン石エクロジャイトの存在条件と、沈み込み帯の成熟に伴う水の保持能力の変化を明らかしたと発表した。 沈み込む海洋地殻の水の保持能力は、沈み込み帯の成熟(時間の経過)とともに向上することを解明した。 海洋プレートの沈み込み帯では、水を保持した海洋プレートの脱水反応が引き金となって、地震活動や火山活動が誘発される。沈み込み帯深部において約11.5重量%と含水量の高い「ローソン石エクロジャイト」(ローソン石を含む変成海洋地殻)の形成は、沈み込みが帯における水や微量元素の循環及び地球深部への物質輸送において重要な役割を果たす。 一方で、世界の造山帯においてローソン石エクロジャイトはあまり存在せず、沈み込む海洋地殻の実像やローソン石エクロジャイトの普遍性については多くの議論が行われてきた。 同成果は7月1日、米国地質学会の専門誌「Geology」の電子版にオープンアクセス論文として掲載された。 <用語の解説> ◆ローソン石 :カルシウムとアルミニウムに富む含水珪酸塩鉱物(化学組成は CaAl2Si2O7(OH)2・H2O)で、沈み込み帯の変成スラブ中で深さ 300 km 程度まで安定に存在できる。その高い含水量(約 11.5 重量%)から、 マントル深部への水及びストロンチウムや鉛、軽希土類元素の重要なキャリアと考えられている。 (詳細) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230703_01web_waterstorage%20.pdf |