2023年07月18日
京大、50種のクモを採集し「コア生物種」解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学生態学研究センターの馬場友希上級研究員らの研究グループは18日、生物多様性を網羅的に解明する「DNAメタバーコーディング」技術を応用し、50種のクモと約1,000種の餌生物が織りなす食物網の構造とその動態を解明したと発表した。

 早春から晩秋にかけての野外調査で2,000個体以上のクモを採集し、その全個体について餌種DNAをターゲットにした分析を行い、食物網の構造をネットワーク科学の観点から解析した。

 その結果、食物網の構造が季節の移り変わりとともに劇的に変化している様子を捉えることに成功した。
 検出された約1,000種の餌種の中には、植物の葉を食べる昆虫や地下の有機物を食べるトビムシ類、他の節足動物を餌とする捕食者や寄生者が含まれていた。
 
 こうした多様な餌を捕食し、地上と地下の生態系間をつなぐ役割を果たしているクモを探索したところ、季節の変化とともに食う/食われる関係のネットワーク内で中核に位置する種( コア生物種 )が入れ替わっていることが明らかになった。

 今後研究をさらに拡大することで、生態系内でどのように物質が循環しているのか、生態系の機能と安定性に「コア生物種」がどのように寄与するのか、など核心的な問いに答える基礎が構築されると期待される。

 同研究成果は7月17日付、国際学術誌「Nature Ecology and Evolution」に掲載された。
 
 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2023-07/2306_Toju_NatE%26E_relj_9_-6a06cf1cca3cb3bbff0d1cdec198860d.pdf