2023年07月20日 |
北大、はやぶさ2の次の目標「小惑星」の組成判明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学理学部の髙木聖子講師らの国際研究グループは19日、北海道名寄市に設置した北海道大学1.6メートルピリカ望遠鏡をはじめ、広島大学1.5メートルの望遠鏡、スペイン・カナリア諸島にある2.56メートル北欧光学望遠鏡などを用いて、「小惑星2001CC21」の偏光観測を実施し、組成などを調べたと発表した。 この小惑星は、2020年12月に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ2」が「はやぶさ2拡張ミッション」として次に訪問する天体として注目されている。 偏光観測は、小惑星表面の組成や反射率を調査するうえで有効な手法となる。研究グループは、ピリカ望遠鏡に搭載された可視光マルチスペクトル撮像観測装置(MSI)などを用いて、2001 CC21の偏光観測を実施し、その偏光特性がS型小惑星と一致することをつかんだ。 また、幾何アルベドは0.23、推定される大きさは約500メートルであることも分かった。 2005年に「はやぶさ(初号機)」が探査した小惑星イトカワもまたS型に分類されている。 イトカワは535×294×209メートルの細長い形状をした小惑星だ。つまり、はやぶさ2が次に探査する2001 CC21は、組成も大きさもイトカワに似た天体であることが判明した。 これは科学研究の中で重要な役割を担うことになる。イトカワ表面で観測されたがれきの集まり構造や宇宙風化度の多様性は、イトカワ特有の現象なのか、それとも太陽系小天体で普遍的に起きている現象なのか。2026年に実施されるはやぶさ2拡張ミッションがその答えを運んでくれると期待される。 なお、本研究成果は「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society Letters」誌(6月12日付)にオンライン掲載された。 |