2023年07月24日 |
筑波大・北大、空中超音波でマイクロ流体操作 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
筑波大学と北海道大学の共同研究チームは、撥水メッシュ上に置いた液滴を、超音波で位置制御し、液滴の動きやジャンプを制御するマイクロ流体操作基盤を開発したと発表した。 科学実験の場合、ピコリットル~マイクロリットル程度の少量の液体(液滴)を並列的に扱う必要が生じる場合がある。また、液滴を空間的に離れた基盤装置・容器へ移動させる際には、液滴をジャンプさせる必要があるが、平面上で液滴を操作するデジタルマイクロ流体技術では、最大で 5 mm 程度の高さに限られていた。 今回、研究チームは、超音波の遠隔力を利用して液滴を操作する新たなマイクロ流体基盤を開発した。撥水加工を施したメッシュを用いると、音波を透過させつつ、液滴を支えることができる。これにより空中でも音圧が高いところに液滴が引き寄せられる性質があることを見い出した。超音波ビームによってメッシュ上の液滴の操作が可能になった。 これにより、液滴のジャンプの高さは最高で 128 mm にまで達する。ジャンプする方向も制御できるため、液滴を隣の装置や別の段に移動させることも可能と考えられる。また、デジタルマイクロ流体基盤に必要な基本的な機能として、複数の液滴の水平移動、合体、分割を実現した。同研究成果により、立体ディスプレイや実験自動システムなどの開発が期待できる。 <用語の解説> ◆デジタルマイクロ流体技術 (DMF, digital microfluidics) : 少量の液体を扱うマイクロ流体技術は、主に、ガラスや樹脂など基盤に微細な流路で流体を操作する場合と、基盤上のデジタルユニットで液滴を操作する場合に分けられる。デジタルマイクロ流体技術は、これらのうち後者を指す。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230721_pr.pdf |