2023年07月25日 |
北大、1900万年前の岐阜の地層から熱帯性植物化石 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学理学研究院の山田敏弘教授らの研究グループはこのほど、岐阜県美濃加茂市の木曽川河床に露出する約1900万年前の地層中に見られる約130本の化石樹幹について、それらがすべてオベチェ(アオイ科)の仲間の絶滅種ワタリア(Wataria parvipora)だったと発表した。また、この林床には、1種類の葉ウリノキモドキ(Byttneriophyllum tiliifolium)が積もっていた。つまり、この化石林は純林であり、化石樹幹と葉化石が同じ樹木に由来することは確実だと結論づけた。 現在と同じように、植物の器官は化石になる前に、互いに別れ別れになる。そのため、植物全体が化石として保存されることは極めて稀で、特に大きな樹木全体が化石として見つかることは滅多にない。 ウリノキモドキは約1900-1000万年前の北半球に普遍的に見られたが、その類縁は分かっていなかった。今回、幹と葉が繋がって見つかったことで、ウリノキモドキがオベチェの仲間であることが分かった。 現生のオベチェは、アフリカ中央部だけに分布する熱帯性の高木で、今回の発見により、この温暖期に高い気温を好む樹木が世界中に拡大していたことが示された。だが、この温暖期の後には、急速に寒冷化が進行しており、ウリノキモドキは、約650万年前に絶滅している。 このような植生史は、植物が温度変化に合わせて分布を変えることを示す一方、ある程度の環境変化に耐える強かさを持っていることを暗示している。同研究成果は、2023年6月22日付の「Scientific Reports」誌に掲載された。 ニュースリリース https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230704_pr.pdf |