2023年07月25日 |
京大、難分解性ビニルポリマーを容易に分解 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学工学研究科の大内誠教授らの研究グループは、(メタ)アクリルポリマーに対し、共重合によって少量のビニルエーテルを導入し、光(UV)照射による水素原子移動反応(HAT反応)を行うと、主鎖の炭素ー炭素結合の切断を伴ってポリマーが分解することを見出したと発表した。 多くの実験から、HAT反応によってビニルエーテルユニットに含まれる酸素に隣接する炭素ー水素結合からラジカル種が生成し、主鎖に転移したラジカル種が炭素ー炭素結合の切断を伴いながら移動することで分解が起こっていると考えられる。 難分解性であるビニルポリマーの主鎖にエステル結合などの易分解性結合を導入することで分解させる研究が活発化しているが、今回研究はこのような易分解結合を導入せず、主鎖の頑丈な炭素ー炭素結合を維持しながら、側鎖に導入したありふれた炭素ー水素結合の活性化をトリガー(引き金)にして難分解性高分子を分解させた画期的な研究成果となった。今後、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、より汎用的に使われているビニルポリマーへの展開も期待できる。 同成果はドイツの国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」(6月26日)にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/20230721-2 |