2023年07月26日
阪大など「脳の神経ネットワーク配線経路」解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:大阪大学

 大阪大学大学院の堀部和也助教および東京大学、広島大学などの共同研究グループはこのほど、「脳内を長距離に配線する神経ネットワークは、胎児期の脳表面を通る最短経路に沿って発達する」という理論を確立し、科学雑誌「Cerebral Cortex」オンラインに発表した。
 
 脳内の神経細胞は、細長い線維を伸ばして互いにつながるネットワークを構築しているが、その配線はきわめて複雑で、ある位置から決った方向を通って離れた特定の位置へ配線することで情報を伝達し、理論的思考や言語など多様で高度な知能を生み出している。だが、ネットワークの配線規則、つまり「何を手がかりにして長距離に配線されているのか」はほとんど不明だった。
 
 研究グループは今回、長距離の神経ネットワークが形成される胎児期に注目し、脳表面の溝など凹凸のある局面の上を通るあらゆる最短経路を計算した。

 その結果、最短経路はある脳の特定の位置で特定の方向へよく通過し、長距離の神経ネットワークが形成される位置や方向と対応することを明らかにした。この結果から「長距離の神経ネットワークが脳表面の最短経路に沿って配線される」という事実をつかんだ。
 同研究成果は7月24日付の「Cerebral Cortex」オンライン版に掲載された。