2023年08月02日
北大、細胞外膜小胞を介した異種細菌間の作用解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学薬学部の脇本敏幸らの研究グループは1日、細胞外膜小胞(MVs)を介した異種細菌間コミュニケーションが、細菌の二次代謝産物生産を誘導することをつかんだと発表した。細菌が分泌する細胞外膜小胞が多様な種類の細菌に対して様々な化合物を生産誘導することを解明した。

 細菌由来の二次代謝産物(天然物)は、細菌ゲノム上の生合成遺伝子を設計図として生合成される。生合成遺伝子の80%以上は、研究室培養条件では発現しない休眠遺伝子だが、細菌の本来の生育環境では外部刺激に応じて発現すると考えられている。
 
 自然環境中で細菌が受ける刺激の一つとして異種細菌が放出するMVsが知られている。
 研究グループは今回、MVsを用いて自然環境を模倣した条件で細菌を培養することで休眠遺伝子を活性化する方法を検討し、様々な細菌がMVsによって多様な天然物を生産誘導することを明らかにした。さらに、2種の細菌がMVsと天然物を利用して、競争的に相互作用することも示した。

 今後は通常の細菌培養では生産されない、未開拓な化合物の獲得が期待される。
 同研究成果は7月14日「Angewandte Chemie International Edition」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230801_pr.pdf