2023年08月03日
京大、二酸化炭素のみ吸着する多孔性材料を開発
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 京都大学アイセムスの北川進特別教授らの研究グループは2日、様々なガス分子の中から二酸化炭素に対してのみゲートを開いて吸着するフレキシブル多孔性材料の開発に成功しましたと発表した。

 温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を効率的に分離して回収する技術の開発は、環境上だけでなく産業的のも重要だが、多孔性材料を利用した吸着分離法は、エネルギー効率が高く、省エネルギーな分離方法として注目されている。

 だが、これまでの多孔性材料を用いたガス分離の研究は、主に二成分混合ガスに焦点が当てられ、多数の類似成分ガスから単一成分を識別する多孔性材料の開発に関する研究はほとんど行われてこなかった。そのため、材料の設計指針などもあまり知られていなかった。
 
 北側教授らは今回、構造に柔軟性を持つ多孔性配位高分子(PCP/MOF)を設計し、構造の柔軟性を活かした波形チャネルシステムを実現することで、特定のガス分子に対して選択的な反応を示すことを明らかにした。吸着ガスとの結合部位と構造変化を相乗的に作用させることにより、N2、CH4、CO、O2、H2、Ar、C2H2、C2H4、C2H6などの類似ガス分子 9 種類に対して CO2のみを分離することができること初めて実証した。

 これまで未開拓だった CO2に対する選択的な吸着現象のメカニズムおよびその設計指針が解明されたことで、同様の性質を示す様々な素材の開発につながる。CO2を始めとする様々なガスの分離や、精製と言った難題を解決する新素材への応用が期待される。
 同成果は年7月15日付英国科学誌「Nature Communications」オンライン版で公開された。

<用語の解説>
◆多孔性材料 :細孔が非常に多く空いている材料のことで、我々の身近なとこで吸着、分離、貯蔵といった様々な目的で利用されている。代表例は活性炭やゼオライトとなる。

(詳細)
https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/_wp/wp-content/uploads/2023/08/1_japanese_pr_iCeMS_otake_website.pdf