2023年08月04日 |
北大、抗がん剤の効果を左右する腫瘍内の免疫機構解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学遺伝子病制御研究所の清野研一郎教授らの研究グループは3日、がん細胞が分泌するインターロイキン-34(IL-34)が、腫瘍内の免疫環境を変えることで、がん細胞に直接作用する治療法の効果が大きく左右されることを解明したと発表した。 抗がん剤や放射線治療といった古典的ながんの治療法は、がん細胞そのものに作用し、がん細胞を殺すことで抗腫瘍効果を発揮すると考えられてきた。しかし、効果には個人差があり、繰り返すことによる抵抗性の問題があった。そのメカニズムも完全に明らかにされたとはいえない。 今回研究では、マウス大腸がん並びに乳がんモデルを用い、まず抗がん剤及び放射線治療の効果が発揮されるためにはT細胞の働きが重要であることを示した。次に、IL-34が産生される腫瘍の中では、免疫抑制性マクロファージの数が増える一方、T細胞の数並びに機能を発揮するための分子の発現が減少していることを見出した。 腫瘍細胞からIL-34が産生されない工夫をすると、抗がん剤並びに放射線治療の効果が著明に改善することを明らかにした。 本結果は、抗がん剤並びに放射線治療に対する治療抵抗性とIL-34の関係を示すものであり、IL-34を標的とした新規免疫治療コンセプトの確立に繋がるものと期待できる。 なお本研究成果は7月24日付の「Oncoimmunology」誌にオンライン掲載された。 |