2023年08月22日 |
超硫黄分子による心機能の制御メカニズム解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学医学部の赤池孝章教授(環境医学分野)、大阪公立大学の笠松真吾助教らの研究グループは21日、組換えタンパク質や細胞およびマウスを用いて、超硫黄分子が「超硫黄触媒反応」を介してADH5(アルコール脱水素酵素 5)によるNO分解代謝活性を担っていることを発見したと発表した。 超硫黄分子が、心血管系の一酸化窒素の制御因子であることを明らかにした。 また、このNO分解代謝活性は、ADH5のホルムアルデヒド解毒反応と超硫黄反応が連動することで発揮されることを見い出した。さらに、九州大学との共同研究により、ADH5の遺伝子改変マウスを用いて、超硫黄触媒反応を制御することで心臓の機能を向上させることができることを明らかにした。 今後、超硫黄触媒反応を創薬研究などに応用することで、虚血性心疾患や難治性心不全のみならず、感染症、生活習慣病、動脈硬化、糖尿病などの代謝性疾患、がんやアルツハイマー病などの神経変性疾患などの予防・治療法の開発を目指す。 同研究成果は、2023年8月18日付けで国際学術誌「Science Advances」に掲載された。 <用語の解説> ◆超硫黄(supersulfides):ポリスルフィド構造を分子内に有する硫黄代謝物の総称。硫黄原子が連結(カテネーション)したポリスルフィド構造により、求核性と親電子性を併せ持ち、多彩な生物活性を示す。 ◆一酸化窒素(nitric oxide, NO):血管弛緩因子として発見され、1998 年にノーベル生理医学賞が授与されたガス状生理活性物質である。血管内皮細胞や神経細胞や白血球・マクロファージやがん細胞などにより産生され、血管弛緩、心機能、記憶などの神経高次機能、感染防御、発がん・がん進展・悪性化などに関わっている。 (詳細リリース) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/08/press20230821-02-no.html |