2023年08月31日
北水研、環境DNAによるホッキョクダラ分布域推定
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 水産科学研究院(北水研)の笠井亮秀教授らの研究グループは31日、ベーリング海から北極海に至る広範囲な地域で、生態系の鍵種となっているホッキョクダラの分布を調べた結果を発表した。研究には、生物を直接捕獲せず分布や生物量を推定する環境DNA解析手法を用いた。

 その結果、ホッキョクダラの環境DNAは、北緯75°の海氷縁辺部から北緯70°付近の表層から多く検出されたが、ベーリング海峡以南ではほとんど検出されなかった。また、環境要因との関連を調べたところ、ホッキョクダラの環境DNAは水温 -1℃~5℃の場所から検出されることが分かった。
 
 従来の研究手法では、魚を直接捕獲するため、短期間で広範囲にわたる多地点での調査は不可能だったが、今回の環境DNA法は、調査現場で採水と濾過だけを行うため北極海の調査に有用といえる。
 
 今回は、北極域生態系における鍵種の分布の効率的なモニタリング手法を示しただけでなく、地球温暖化のインパクトを解明する上で大きく貢献すると期待される。
なお、同研究の成果は8月30日付「Frontiers in Marine Science」誌にオンライン掲載された。