2023年09月04日 |
東北大、ハブ毒酵素からアルツハイマー治療薬 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学 農学部の二井勇人准教授らの研究グループは、ハブ(Protobothrops favoviridis)の粗毒から、金属イオンアフィニティー法を用いて蛇毒メタロプロテアーゼ(SVMPs)を精製したと8月31日に発表した。 ハブが進化の過程で獲得した多様な毒成分の主要な成分は、蛇毒メタロプロテアーゼ(snake venom metalloproteinases, SVMPs)というタンパク質分解酵素。SVMPsは、ヒトに存在するADAMs (a disintegrin and metalloproteinases)ファミリータンパク質と共通の祖先に由来する。 二井准教授らのグループは、タンパク質分解酵素のADAMsがアルツハイマー病の原因となるアミロイドβ(Aβ)の生成を抑制するプロテアーゼとして知られていることから、SVMPsの医療応用の可能性を探った。 研究グループは同大学 学際科学フロンティア研究所の佐藤伸一助教、東京大学薬学研究科の富田泰輔教授との共同研究によって、SVMPsがヒト細胞からのAβ生産を大幅に減少させることを明らかにし、有毒なAβを短いペプチド(p3)に変換する切断部位を特定した。 さらに、試験管内でAβのアミロイド線維を生成させる実験から、SVMPsはアミロイド線維を分解しないものの、アミロイド線維の生成を抑制することも明らかにした。今後の研究によって、Aβ分解プロテアーゼを用いた治療法の開発に役立つことが期待される。 同研究成果は2023年8月12日に科学雑誌「Toxins」に掲載された。 |