2023年09月05日 |
北大、超伝導ボースグラス 実験的繰込み法確立 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 工学研究院の丹田聡特任教授らの研究グループは4日、ボースグラスとフェルミグラスの実験的繰込み法を確立し、これにより、超伝導物質の超伝導発現直前の電子状態の描像が明らかになったと発表した。 最近身近になった超伝導物質は、温度を冷やすと電気抵抗がゼロになることが知られている。この超伝導物質に変化を加えて温度を冷やすと、逆に電気抵抗が大きくなり局在状態になる場合がある。この場合、この物質の電気を運ぶ電子が、金属のように一つの電子としてふるまっているのか(フェルミグラス状態)、超伝導の特徴であるペアの電子でふるまっているのか(ボースグラス状態)を電気抵抗から判別する方法はなかった。 研究グループは今回、超伝導物質の中で性質の異なるNd系銅酸化物高温超伝導体と、Pb薄膜の実験データを使い、電気抵抗の温度変化を繰込み法という解析手法を用いて詳細に調査した。その結果、電子のふるまいの違いがはっきりと判別できることが分かった。 これは、いままで理論で使われてきた繰込み法を実験分野に応用することに成功したことを意味する。さらに、物質によらず、このふるまいの境目(ボースグラスとフェルミグラスの境目)が、ユニバーサルな量子抵抗値であることを発見できた。 この結果の応用として、ある物質が超伝導を発現しない場合でも、電気抵抗にボースグラス状態が判別できれば、超伝導状態が得られる可能性を意味している。 同研究成果は、2023年8月1日公開の「Scientific Reports」誌に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230904_pr.pdf |