2023年09月08日 |
京大、細胞シートを「折りたたむ」仕組み発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学 生命科学研究科の坪井有寿助教らの研究グループは、細胞シートを取り囲む接着性素材 (細胞外マトリックス)によって、「折り紙」のように細胞シートを3次元に折りたたむ仕組みを発見したと発表した。 生き物が規則的な形を生み出す仕組みは、未解明のままの重要な問題となっている。先行研究では、組織を構成する個々の細胞が協調して変形や移動を行うことで、組織の形状が変わることが示されている。しかし、多細胞生物では、細胞は孤立して存在することはなく、常に周囲の構造物により囲まれた状態で組織の形づくりが進む。したがって、形作りの仕組みを理解する上で、周囲の構造物による空間的な制約の影響を明らかにすることが重要だが、この点に関する知見はまだ乏しい状態といえる。 研究グループは今回、ショウジョウバエの規則的な翅組織の折れたたみに着目し、組織と周辺構造物であるクチクラをつなぎとめる細胞外マトリックス Dumpyから構成される繊維素材の“構築”と“解体”が、規則的な形作りの鍵となることを発見した。 同研究成果は、細胞外マトリックスを介した組織と周辺構造物のダイナミックな相互作用が、3次元の規則的な組織の形を自在に制御することを示しており、器官の発生・再生に関わる生命科学・工学・医学などの分野において重要な知見となることが期待される。 同研究成果は、2023年9月1日に、国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載された。 (詳細) https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2023-09/2308_Kondo_AAAS%20SciAd_relj4-4854d7b0fe57571d6472e1ea6da6ca71.pdf |