2023年09月13日
北大、絶滅危惧種/淡水二枚貝のストレス機構解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 大学院 環境科学院の根岸淳二郎准教授らの研究グループは12日、北海道東部の河川において、コガタカワシンジュガイ(小型川真珠貝、絶滅危惧IB類)を対象に、若齢な個体が欠落(再生産の停止)する個体群を特定し、再生産の停止に栄養塩と細粒土砂の複合ストレス機構が働くことを明らかにしたと発表した。

 コガタカワシンジュガイは、寿命が80年を超え、幼生期にアメマスの鰓に寄生するという複雑な生活史を持つことから、健全な河川環境の指標といわれている。一方で近年、コガタカワシンジュガイとその仲間(イシガイ目)において、再生産が停止し、高齢な個体が優占する個体群があることが広く確認されていた。
 
 本研究では、コガタカワシンジュガイの再生産の停止が、宿主へ寄生する寄生期と宿主から脱落した直後の稚貝期のどちらかに問題が起きると生じること、河川水中の栄養塩濃度と懸濁細粒土砂量が共に高い時に、稚貝の生残率が相乗的に低下することで再生産の停止が起きることを実証した。
 
 本研究の成果により、環境の変化に脆弱な複雑な生活史を持つ淡水二枚貝の個体群が健全に維持される河川環境の管理に近づくことが期待される。

 同研究成果は、9月7日付「Aquatic Conservation: Marine and Freshwater Ecosystems」誌にオンライン掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230912_pr3.pdf