2023年09月14日
東北大、菌類へのエサの量と菌糸体の行動を確認
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学大学院 農学研究科の深澤遊助教らの研究グループは13日、木材をエサとする木材腐朽菌の菌糸を培地上で培養し、エサとして与える木片の大きさや距離を変えた実験を行うことで、菌糸体の行動がどう変わるかを調べた。

 キノコやカビなどの菌類は「菌糸」と呼ばれる糸状の体を伸ばして成長するが、その菌類が周囲の環境をどのようにとらえて行動しているのかは、よくわかっていなかった。
 
 その結果、菌糸体は近くて大きいエサには引越しやすいのに対し、遠くて小さいエサにはなかなか引越さないことがわかった。エサの大きさは得られるエネルギー量に、エサまでの距離はエサの探索に必要なエネルギーコストにそれぞれ関わってくると考えられる。

 菌類の菌糸体は動物と同様にエネルギー収支に基づいて資源探索行動をとっている可能性がある。
 この観察結果は、菌類の菌糸体が動物で知られる「最適採餌戦略」のようにエネルギー収支に基づいて資源探索行動をとっていることを示している。広く生物に共通する行動原理の探究や、野外の菌糸体の行動予測などを通じて、森林生態系における菌類の重要性の理解につながる研究成果といえる。

同研究成果は国際科学誌「Frontiers in Cell and Developmental Biology」(8月24日付)に公開された。