2023年09月21日
広島大、ゲノム編集ニワトリの作出効率を改善
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 ニワトリは食料のほか、ワクチンや医薬品を作る「生物工場」となるが、近年はゲノム編集分野で大きく貢献している。

 広島大学大学院 統合生命科学研究科の堀内浩幸教授らの研究グループは20日、効率よくゲノム編集ニワトリを作出する方法として遺伝子導入時の培地条件に着目し、リポフェクションによる遺伝子導入効率の向上を図ることに成功したと発表した。
 
 また、遺伝子導入試薬やその他の培地条件についても検討したところ、これまで報告されていた方法よりも高効率な遺伝子導入条件を見出すことに成功した。さらに、この手法を用いて「CRISPR/Cas9 」によるゲノム編集を行なったところ、ゲノム編集された細胞を確認することができ、本手法がゲノム編集にも十分に利用できることを示した。

 堀内教授らの研究グループは、先にオボムコイドフリー鶏卵の作出に成功したが、開発までに 10 年という長い年月を要した。今回の発見は、この研究開発期間を大幅に短縮することができる技術となる。これによりゲノム編集されたニワトリ PGC を取得しやすくなり、ゲノム編集ニワトリを用いた今後の研究や産業応用の発展につながると期待される。

<用語の解説>
◆ 始原生殖細胞(PGC): 精子や卵になる細胞
◆ CRISPR/Cas9: 細菌が持つ獲得免疫機構に関わるシステムを利用したゲノム編集ツール。標的とする DNA を認識する single guide RNA と DNA 切断酵素Cas9 で構成される。