2023年09月25日
理研など「放射光X線が地球核の化学組成変える」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 理化学研究所と東北大学、ドイツ・カールスルーエ工科大学による国際共同研究グループは22日、新たな絶対圧力スケール(状態方程式)を決定し、それに基づいて、地球の核の化学組成に変更を迫る成果を公表したと発表した。
 
 太陽系外惑星の内部構造だけでなく、数百万気圧の高圧下における物理学、化学、材料科学に関連するあらゆる物質の振る舞いに再評価を迫る重要な結果だとしている。

 今回、国際共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」の世界最高輝度の放射光X線と、金属レニウムを用いて、超高圧下での圧力と物質の密度の関係を表す新しい絶対スケールを決定した。
 
 この絶対圧力スケールは、従来の2倍となる世界最高の圧力範囲で、地球の核内部の圧力まで外挿(既知の測定値から未知の値を推定・推測)することなく適用できる。これにより、従来のスケールは、地球の核内部の圧力領域において、20%以上も圧力を過大評価していたことが分かった。

 地球の核は、固体鉄を主成分として、ケイ素、硫黄のような軽い物質が含まれている。今回の絶対圧力スケールを用いると、内核の条件では、固体鉄の密度が地震学的に観測された密度より8%大きく、従来の圧力スケールで見積もられていた密度との差の約2倍に当たる。この結果から、核に含まれる軽い物質は、地球の表層部(地殻)の質量の5倍以上に相当する量に見積もられることが分かった。
 本研究は、米国のオンライン科学雑誌「Science Advances」(9月8日付)に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press_03web_synchrotron.pdf