2023年10月03日 |
北大、低利用資源ダルスから紫外線防御物質 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 水産科学院の岸村栄毅教授らの研究グループは3日、函館市臼尻町で採取された紅藻「ダルス」から、紫外線防御物質であるマイコスポリン様アミノ酸(MAAs)について調査し、調整法を確立したと発表した。 ダルスは寒い地域に生育する紅藻で、日本では北海道から岩手県にかけて生育している。また、MAAsは海洋生物が作り出す天然の紫外線防御物質で、安全で環境に優しい化合物として注目されている。しかし海洋生物の生体内にMAAsは微量しか含まれておらず、季節や環境要因によって変動することが示されていた。 今回の調査によって、ダルスの発生は毎年2~3月に最大となり、特に3月に最も高いMAAs含有量を観測した。また、新たな調製法を用いてもMAAsの月別変動の調査に影響しないことを確認した。調製法の改善により、抽出溶媒を試料に対して40倍容量にしたところ、20倍容量の場合と比較して1.3倍多くのMAAsを調製できた。抽出残渣にはMAAsが残存しており、40倍容量で2回以上の抽出を行うことで多くのMAAsを回収できることを示した。 同研究は、低利用資源であるダルスの有効利用と環境に優しい天然の紫外線防御物質MAAsの産業利用の推進に貢献することが期待される。 同研究成果は、2023年9月7日に「Phycology」誌でオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆マイコスポリン様アミノ酸 :海洋生物特有の天然の紫外線防御物質。紫外線吸収作用に加え、抗酸化作用や線維芽細胞増殖効果が報告されている。Mycosporine-like Amino Acid の頭文字から MAAと呼ばれ、これまでに 30 種類以上の MAA が発見されている。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231003_pr.pdf |