2023年10月06日 |
北大、イヌの鼻腔内腺癌に免疫阻害剤が有効 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 獣医学研究院の前川直也特任助教らの研究グループは5日、進行した悪性腫瘍に罹患したイヌ12頭に対するイヌ用免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-L1抗体)の臨床研究を行い、鼻腔内腺癌や骨肉腫のイヌで腫瘍の退縮が得られたことを世界で初めて報告したと発表した。 イヌの腫瘍は外科手術や化学療法、放射線療法などによって治療されるが、完治に至らないケースも多く、新規治療法の確立が急務だった。研究グループではこれまでに免疫チェックポイント阻害剤の一つである抗PD-L1抗体による免疫療法が、口腔内悪性黒色腫のイヌの一部において腫瘍の退縮をもたらすことを世界に先駆けて報告してきた。一方で、口腔内悪性黒色腫以外では、どのような種類のがんで治療効果が得られるかが分かっていなかった。 そこで口腔内悪性黒色腫以外の、進行した悪性腫瘍に罹患したイヌ12頭に対して、抗PD-L1抗体の安全性と有効性を調べるための臨床研究を行った。治療を受けた指/フットパッドの悪性黒色腫、骨肉腫、未分化肉腫等のイヌのうち、一部のイヌでは抗PD-L1抗体の投与により治療に関連した有害事象が認められたが、許容可能な範囲内と考えられた。さらに、効果の評価を行った8頭のうち、鼻腔内腺癌の1頭及び骨肉腫の1頭では、腫瘍の退縮が認められた。 本研究成果は、鼻腔内腺癌や骨肉腫など口腔内悪性黒色腫以外のイヌの悪性腫瘍において、抗PD-L1抗体による免疫療法が有効な治療法となる可能性を示しており、今後のイヌ用免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法の実現に向けた重要な知見となる。 同研究成果は10月5日公開の「PLOS ONE」誌に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/10/pd-l1-3.html |