2023年10月11日
北大「草と木の境目発見」新分離法見つける
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 北海道大学大学院工学研究院の佐藤太裕教授の研究グループは10日、草と木の違いを発見したと発表した。草と木それぞれの仕組みの違いに基づく、明快で新しい植物の分類則を発見した。

 研究グループは、細く柔らかい体を有する草をはじめとする「草本植物」が、光合成に必要な高さまで自立した状態を保ちつつ成長できることに着目した。この仕組みを力学的に明らかにすることは、細く柔らかい体で重力にうまく抵抗する仕組みの解明につながると考えた。
 
 乾燥や伐採に伴う水分の流出によって体が大きくたわむことから、草本植物の体を支える仕組みには内部水分が大きく関わっていると予想される。植物に見られる円筒形の構造では、十分な水分が供給されることで生じる圧力が、植物を上部に引き上げる張力に還元される。
 研究グループは、この張力が植物の力学的な安定性に及ぼす影響について、定式化を行った。

 その結果、一般的に「草」と呼ばれる植物が、張力を活かした構造と軽く細い形状を巧みに組み合わせることで、自重により体が倒伏する現象を巧みに回避し、自身の重さで最大高さが支配されないようにしていることが理論的に明らかになった。
 
 これを踏まえ、「張力の影響と自重の影響のどちらが大きいか」という観点から、その植物が「自身の材料的な性質や形状が織りなす固有の硬さ」と「水分によって生じる疑似的な硬さ」のどちらを駆使して体を支えているタイプなのかを判別し、力学的観点から草と木を明快かつ簡単に分類できる、植物の新たな分類則の開発に成功した。
 同研究成果は10月6日公開の「Proceedings of the National Academy of Sciences」(PNAS)誌に掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231010_pr2.pdf