2023年10月18日
広島大、腸内のカビが肺の線維化に与える影響 解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 広島大学大学院 医系科学研究科 分子内科学の服部 登教授らのグループはこのほど、米ミシガン大学と共同で「腸内でCandida albicans を増殖させたマウスでは肺線維症が悪化すること」を発見し、そのメカニズムについて新たな知見を得たと発表した。

 同研究では、消化管の“ありふれたカビ”であるカンジダ(Candida albicans)が腸内で増殖すると肺線維症が悪化することをマウス実験によって初めて明らかにした。

 この肺線維症の悪化には Th17・IL-17A が関与していることを解明した。腸内でカンジダが増殖すると、まず肺などの離れた臓器に Th17 への分化傾向を示すリンパ球が増加し、さらに刺激が加わると Th17 へと分化を遂げサイトカインである IL-17A を産生・分泌する、という2 段階の制御機構を発見した。
 
 さらに IL-17A は血管内皮細胞に働き「内皮間葉転換を誘導する作用があること」を初めて明らかにした。 これらの成果は微生物叢を標的とした新たな肺線維症治療法の開発につながると期待される。
同研究成果は、国際学術誌「The Journal of Pathology」(23年8月11日付)オンライン版に掲載された。