2023年10月19日
北大、グリーンランド氷床高地の融解量復元
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学低温科学研究所の的場澄人助教、北見工業大学の堀彰准教授らの研究グループは18日、2021年に掘削したグリーンランド氷床南東部アイスコアの高精度年代スケールを構築し、産業革命前から現在にかけての夏季積雪融解量が北極域の温暖化に伴い増加したことを解明したと発表した。

 近年、北極域では地球全体を上回るペースで気温が上昇している。研究グループは今回、複数の物理・化学的な解析から、グリーンランド氷床南東部のアイスコアの1799年から2020年にかけての時間スケールを、半年解像度という高精度での確立に成功した。
 
 さらに確立された年代を元に過去221年の降水量と夏季融解層の厚さを復元した。その結果グリーンランド南東部では、年降水量は過去221年間にわたり減少も増加も示さず、有意な傾向は見られなかったが、融解層の厚さは北極域の温暖化に伴い19世紀から21世紀にかけて増加していることが明らかとなった。
 
 本研究結果は、産業革命(1850年)前から現在において、温暖化によりグリーンランドの内陸高地で夏季積雪融解量が増加していることを実証した。今後、得られた地上真値を用いた長期間の領域気候モデルや衛星観測データの検証から、地球気温の将来予測の精度を高めることが期待される。
同研究成果は「Journal of Geophysical Research, Atmospheres」誌(10月13日)に掲載された。

(詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231018_pr3.pdf