2023年10月24日 |
北大、南極海の海氷変動による珪藻類の応答確認 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 水産科学研究院の松野孝平助教らの研究グループは23日、南極海東インド洋区の海氷変動について、珪藻類の種組成には影響を与えないが、優占種の生活史を変え得ると発表した。 珪藻類は、海洋における植物プランクトン相に最優占し、海洋生態系を支える重要な生物。これまでの研究で、南極海東インド洋区の珪藻類は、物理的な湧昇や、海氷融解による鉄の供給の影響を受けることが知られていた。だが、近年の海氷変動が珪藻類にどのように影響を与えているかの理解は十分ではなかった。 研究グループは2018/2019年夏季に、南極海東インド洋区の東経90~150度に及ぶ広い海域で水産庁漁業調査船「開洋丸」により珪藻類の調査を行い、(1)珪藻類の種組成は海氷とほとんど関係はなく、栄養塩濃度と密接に関係している(2)優占したフラジラリオプシス属(Fragilariopsis spp.)の細胞サイズは海氷融解からの経過日数で変化する、ことなどを明らかにした。 同研究の成果は、南極海での海氷変動による珪藻類の応答を明らかにしており、南極海海洋生態系の将来予測の精度向上に貢献する知見となる。 なお同研究成果は9月6日付「Progress in Oceanography」誌にオンライン掲載された。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231023_pr.pdf |