2023年10月30日
産総研、機能性化学品の合成に新技術
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

 産業技術総合研究所 化学プロセス研究部門の牧野貴至グループ長らは30日、連続的に反応・抽出・分離を実施可能な連続生産フロープロセスを構築するうえで鍵となる多段連続抽出分離システムを開発し、機能性化学品の高効率かつ低環境負荷な連続生産を実証したと発表した。

 抽出分離は機能性化学品の生産に必要不可欠な精製プロセスの一つだが、処理に多くの時間と溶媒を要するため、連続化や他のプロセスとの連結が難しかった。
 産総研は、スラグ流を用いた高速抽出分離システムを効率的に多段化することで、最小限の溶媒量を用いて約3分以内に連続抽出分離ができるシステムを開発した。今回開発した連続抽出分離システムをフロー反応システムと連結して使用することで、未反応原料や抽出溶媒を循環利用して目的物質を連続合成することが可能となる。例えば、香料の一つであるバニリンの連続生産フロープロセスを毎時数グラムの規模で運転したところ、従来技術のバッチ法と比べて約17倍の生産効率向上と約50%の廃棄物削減効果が実証できた。

 今回の開発技術を実用化することで、バニリンなどの機能性化学品生産における生産性や環境負荷が大幅に改善され、持続可能なものづくりに貢献する。
 同技術の詳細は、10月30日「ACS Sustainable Chemistry & Engineering」に掲載。

ニュースリリース参照
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20231030/pr20231030.html