2023年11月07日 |
北大、ナマコの成長促す新たな海洋細菌発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 水産科学研究院の澤辺智雄教授らの研究グループはこのほど、マナマコの成長を促す新な海洋細菌を発見したと発表した。初期に高頻度で見いだされるコア微生物の中からマナマコの成長を促す新たな海洋細菌を見つけた。 マナマコは、乱獲などによって天然資源量が著しく減少している。北海道では生産手法や餌料の研究も活発に行われている。だがマナマコは成長が遅い上、成長初期の成長格差や減耗など、安定生産に向けて改善しなければならない課題は多かった。とくに、マナマコの成長を促す新たなプロバイオティクスの発見が強く求めれれていた。 研究グループはは、マナマコの受精卵を実験室内で繰り返し育てる実験を3年間にわたり実施し、マナマコの初期成長期に高頻度で見いだされるコア微生物を、メタゲノム技術を用いることで探索した。 その結果、4種の微生物がコア微生物として見いだされ、そのうち1種は、マナマコの胞胚から分離したスルフィトバクター属細菌であることが分かった。この細菌を混合した餌料を稚ナマコに投与したところ、成長促進効果が観察された。今後、新たなプロバイオティクスを活用したマナマコの種苗生産の高度化への展開が期待される。なお、本研究成果は10月24日に「Animal Microbiome」誌に公開された。 <用語の解説> ◆ プロバイオティクス :充分な量を投与した場合、宿主の健康に良い効果をもたらす生きた微生物。 ◆ メタパンゲノム :微生物の培養を行うことなく得た微生物全ゲノム情報を統合し、それを基に特定の細菌ゲノムの存在量や特有の遺伝子を解析する技術。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231101_pr2.pdf |