2023年11月10日
三井化、細胞膜酵素を用いてCO2還元ギ酸生成
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 三井化学は10日、細胞膜酵素を用いて水素駆動型CO2還元反応によるギ酸生成法を開発したと発表した。
 九州大学の研究グループとの共同研究による成果としている。
 ポイントは、次の3点。
(1)二酸化炭素(CO2)の削減方法として細胞膜酵素によるCO2の水素化反応システムを開発した。
(2)細胞膜酵素による水素駆動型CO2還元反応からの高効率なギ酸生成系の構築に世界で初めて成功した。
(3)酵素触媒を用いた常温・常圧でのCO2還元反応は、カーボンニュートラルにも貢献できる。

 研究グループは、阿蘇くじゅう(九重)国立公園内の温泉から新規に単離した細菌の細胞膜から高活性と高安定性の水素酵素とギ酸脱水素酵素を発見し、両酵素の精製と特性解析に成功した。
 両酵素の共通点である細胞膜局在性に着目し、カーボン担体と高分子ポリマーで細胞膜を固定化し、非貴金属酵素触媒による水素駆動型CO2還元反応を構築することにより、常温・常圧反応条件下での高効率なギ酸生成系の開発に世界で初めて成功した。
 
 今回開発の特徴は、生体の電子伝達と物質変換反応で根幹になる厚さ数ナノメートルの細胞膜(plasma membrane)の特性に着目し、膜表面の親水性と膜内面の疎水性の機能を、人工的なエネルギー変換デバイスの構築に生かした点。固定化細胞膜を用いることで、常温・常圧条件下でこれまで開発された人工細胞膜触媒系と比べ、216倍以上の高活性でギ酸のみの生成に成功した。
 
 同研究は、細胞膜をカーボン担体と高分子ポリマーで固定化した高効率なCO2変換系の創成であり、今後その精製酵素系を用いたエネルギー変換システムの開発に役立つと期待される。
 同成果は10月23日にElsevierの国際学術誌「Bioresonce Technology」にオンライン掲載された。


<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1699604868.pdf