2023年11月13日
広島大、アミノ酸から2つの新規化合物発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 広島大学大学院統合生命科学研究科の荒川賢治准教授らの研究グループは10日、アゾキシアルケン化合物生産菌から新規ヒドラジドアルケン化合物を発見したと発表した。
 
 放線菌 Streptomyces rpchei 7434AN4 株の三重遺伝子変異株(KA57 株)から、従来のアゾキシアルケン化合物 KA57Aに加え、吸収極大の異なる2つの UV 活性化合物 KA57D1、KA57D2 の蓄積を見いだした。

 KA57A、KA57D1、KA57D2 のα位窒素(Nα)の起源がいずれも異なり(セリン、バリン、イソロイシン)、窒素・窒素結合形成酵素の基質認識が寛容であることが強く示唆された。これにより、本酵素が様々なアミノ酸などの窒素含有化合物を結合させることが期待でき、新たな窒素・窒素含有化合物の創成が期待できる。
本研究成果は、23年8月25日に米国化学会の学術誌「Journal of Natural Products」に掲載され、表紙にも採用された。

<用語の解説>
◆二次代謝産物とは :生物の成育・分化・増殖に必要な化合物群は一次代謝産物(タンパク質、糖、脂質など)と呼ばれるのに対し、生育には必須ではないが個々の生物に特徴的な生産物として認められる化合物群のこと。色素、抗生物質などが知られており、他生物からの防御物質として機能しているといわれている。