2023年12月07日
理研、ナノサイズの分子モーターの動き探求
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 大腸菌などのバクテリア(細菌)は、「ナノサイズのモーター」でべん毛を回転させて泳ぎ回る。一方、バクテリアとは異なる進化系統にあるアーキア(古細菌)については、運動機構の研究が進んでいなかった。理化学研究所は7日、木下佳昭研究員が独自のアプローチでアーキアの分子モーターの観察に成功したと発表した。

 大腸菌やマイコプラズマなどのバクテリアは、らせん繊維状の長い尻尾(べん毛)を回転させて水中を泳いだり、物体表面を滑るように移動する。これらの動きをつくり出しているのが、機械のモーターのように回転する、「分子モーター」と呼ばれるタンパク質複合体だ。

 バクテリアと同じく細胞核を持たない原核生物のアーキアも、べん毛を回転させて水中を泳ぐ。ただ、べん毛と言っても、バクテリアとアーキアでは分子モーターに使われている部品(構成タンパク質)が異なり、どんな動きをしているのかは分かっていなかった。

 理研の木下研究員は、中東の死海で見つかったハロバクテリウム・サリナラムというアーキアは、6本の長いべん毛を動かして水中を泳ぐが、このべん毛は10ナノメートルほどと極めて細いため、高精度の光学顕微鏡でも見ることができない。そこで、蛍光標識が難しいアーキアべん毛を光らせる手法を編み出し、光学顕微鏡での観察を可能にした。そして、光るべん毛の画像を1秒間に500枚の高速撮影で捉えることに成功した。

(詳細)
https://www.riken.jp/pr/closeup/2023/20231207_1/index.html