2023年12月22日 |
名大、新型コロナウイルスと粘膜抗体 関係解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:名古屋大学 |
名古屋大学大学院 理学研究科の岩見真吾教授らの研究グループはこのほど、オミクロン感染者の臨床検体を数理科学的に分析し、粘膜表面における分泌型Ig-A(S-IgA)抗体の誘導が早い症例ほど感染性ウイルス排出期間が短くなる傾向を明らかにしたと発表した。 The first few hundred調査と呼ばれる積極的疫学調査で得られたデータと、試料を倫理審査委員会の承認を得て二次利用し合計122人のデータを分析すると、S-IgA抗体は鼻粘膜検体において他の抗体よりもウイルス量や感染力を強く抑制する傾向も見られた。 新型コロナウイルスへの感染歴やワクチン接種歴がある感染者ほどS-IgA抗体の誘導時間が短くなることも明らかになった。本研究は、呼吸器ウイルス感染症において分泌型粘膜抗体が感染性ウイルス排出を抑制する可能性をヒトで示した世界で初めての報告となる。 本研究成果により、粘膜免疫を標的とした次世代のワクチン開発が加速され、将来、呼吸器系ウイルスによるヒト間伝播を予防し、パンデミックを制御するための新たな戦略を与えることが期待される。 これらは国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA」(12月19日)に掲載された。 <用語の解説> ◆The first few hundred 調査 :未知の病原体が出現した際には、リスク評価や隔離期間の決定など、公衆衛生対応を迅速に行う必要がある。The first few hundred 調査(FF100)とは、感染症による公衆衛生危機発生時に症例定義に合致した数百症例程度から通常のサーベイランスでは得られない知見を迅速に収集するための臨床・疫学調査をいう。 ニュースリリース参照 https://www.kyushu-u.ac.jp/f/55336/23_1219_01.pdf |