2023年12月25日 |
東大、クラゲの触手はなぜ素早く再生できる? |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学大学院 薬学系研究科の三浦正幸教授らの研究グループは22日、東北大学と共同で、刺胞動物のエダアシクラゲを用いて、触手再生過程において特異的に出現する未分化細胞が再生芽を形成して、常在する幹細胞と協調することで迅速な器官再生を実現する仕組みを明らかにした。 クラゲの触手は切断後2-3日以内に機能的な再生を示すが、研究グループは今回、その過程で損傷に応答して出現する再生特異的な増殖性の未分化細胞が再生芽を形成することを見出した。 損傷後の器官や組織の再生において、未分化性の増殖性細胞を含む再生芽の形成は、それぞれの器官や組織が再生可能かどうかを決める最も重要なプロセスの1つ。これまでの再生研究の多くは左右相称動物を用いて行われてきたこともあり、それ以外の動物の再生芽形成メカニズムはほとんど不明だった。 研究グループは今回、再生能力が高いことで知られる刺胞動物のエダアシクラゲを用いて、触手の切断部位近傍に未分化細胞が集積して再生芽を形成することを見出した。 また、再生芽を形成する未分化細胞は増殖能や分化能を含む幹細胞としての特徴を示すものの、常在する幹細胞とは異なる由来と機能を示し、特に新しく形成される触手の上皮細胞に選択的に分化することを明らかにした。本研究成果は、動物門ごとに複雑な器官や形態を獲得する中で再生芽形成メカニズムが独自に進化した可能性を示唆するものといえる。 (詳細) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press1222_01web_jellyfish.pdf |