2023年12月26日 |
北大、プラ開始剤/ラジカル反応開発に成功 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 工学研究室の伊藤肇教授( 創成研究機構化学反応創成研究拠点)らの研究グループは25日、ボールミルを用いたメカノケミカル法を用いることで、プラスチック材料をラジカル開始剤として用いるラジカル連鎖反応の開発に成功したと発表した。 ラジカル連鎖反応は、医薬品・生理活性物質や機能性材料の合成などに幅広く用いられている重要な有機合成反応の一つで、この反応には、一般的にラジカル開始剤と呼ばれる反応剤が必要となる。従来、ラジカル開始剤にはアゾ化合物や過酸化物、有機金属化合物などが用いられてきたが、それらの試薬は反応性が高く、爆発性の懸念があった。このため、安全で取り扱いが容易なラジカル開始剤の開発が求められていた。 研究グループは、ボールミルを用いたメカノケミカル条件下、ポリエチレンなどの汎用プラスチックがラジカル開始剤として機能することを見出した。プラスチック材料をボールミルで粉砕することで発生するメカノラジカルが、小分子を活性化し、ラジカル連鎖反応が進行する。また、本手法では有害な有機溶媒を用いずにラジカル連鎖反応を実施できることも特徴の一つとなる。今後、安全で高効率かつ環境に優しい省溶媒メカノケミカル有機合成プロセスの開発が期待できる。 本研究成果は「Journal of the American Chemical Society」誌(23年12月22日付)にオンライン掲載された。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/231225_pr.pdf |