2002年03月07日
中国政府が無水フタル酸でアンチダンピング調査開始
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:新日鐵化学、三菱ガス化学

 経産省によると中国政府(対外貿易経済合作部)は6日、日本、韓国、インドの3カ国を対象に「無水フタル酸」の輸出にダンピングの疑いがあるとして、調査開始の公告を行った。

 それによると中国政府は、1月15日に国内の5社から調査開始の申請を受けた。同国の「アンチダンピング条例」に基づき、調査対象国からの輸入に関するダンピングの状況や、中国の国内産業における損害状況などの調査を行わう。
 
 無水フタル酸は、塩ビ樹脂用のフタル酸系可塑剤向けを中心に、塗料や不飽和ポリエステル樹脂、染料・顔料などに利用されているが、わが国では塩ビ需要の不振から、無水フタル酸需要も低迷傾向が続いている。
 
 現在メーカーは、三菱ガス化学(年産能力10万1,000トン)、新日鐵化学(7万2,000トン)、川崎化成(8万2,000トン)、川崎製鉄(3万トン)の4社、生産能力は合わせて28万0,600トンとなっている。1998年当時まではメーカーは6社あり、生産能力も30万トンを超えていたが、その後2社が同事業から撤退した。
 
 我が国からの中国への無水フタル酸輸出も99年の5万1,972トンから00年は4万9,262トン、01年は3万9,926トンと減少している。
 
 一方中国は、このところの経済発展で無水フタル酸の需要が増加しており、00年の輸入量は20万トンを超えている。輸入は韓国からのものが約40%、日本は約20%で、インド約10%となっている。
 
 国内メーカー各社は中国政府の今回の調査開始について「詳しい事情が分からないのでコメントは控えたい。よく検討したうえで対応したい」といっている。