2024年01月05日
九大、染色体タンパク質をDNAから外す
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学


 九州大学大学院 理学研究院の高橋達郎教授らの研究グループは、細胞内に近い生理的環境を試験管の中で再現できる「ツメガエル卵抽出液」を用いて、PCNAを取り外す反応の制御メカニズムを明らかにしたと発表した。

 細胞が増殖し、正常に機能するためには、細胞の設計図であるDNAを正しく複製、維持することが必要で、そのためには、DNAの正確な合成に加えて、損傷修復など複数の反応が適切に行われる必要がある。不要なPCNAを取り外すことが染色体の安定維持に必要であることは分かっていたが、取り外しを担う因子やその制御については十分に理解されていなかった。

 研究グループは、ツメガエル卵抽出液中の4種類のクランプローダー複合体を全て定量し、複合体が全体のわずか3%であるにも関わらず、抽出液からAtad5(複合体)を除去すると、PCNAのDNAからの解離が大きく遅延した。
 
 これらの発見は、PCNAを足場として利用するDNA複製、修復など様々な反応がどのようにして制御されているのかを解明するものとなった。本研究は、PCNAが適切に外されないことによって生じる様々な障害の解明にもつながることが期待される。

 同研究成果は、米国「Journal of Biological Chemistry」誌(2023年12月21日)に掲載された。