2024年01月19日 |
都立大など、二次元シートでナノサイズ巻物 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:産業技術総合研究所 |
東京都立大、産業技術総合研究所、筑波大、東北大、名古屋大、金沢大、北陸先端科学技術大学院大らの研究チームは18日、次世代の半導体材料として注目されている遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)の単層シートを利用し、最小内径5nm程度のナノサイズの巻物(スクロール)状構造の作製に成功したと発表した。 TMDは遷移金属原子がカルコゲン原子に挟まれた3原子厚のシート状物質で、近年その機能や応用が注目されている。一般に、TMDは平坦な構造が安定であり、円筒などの曲がった構造は不安定な状態となる。 今回、上部と下部のカルコゲン原子の種類を変えたヤヌス構造と呼ばれるTMDを作製し、この非対称な構造がスクロール化を促進することを見出した。理論計算との比較より、最小内径が5nm程度まで安定な構造となることを確認した。また、スクロール構造に由来して軸に平行な偏光を持つ光を照射したときに発光や光散乱の強度が増大すること、表面の電気的な特性がセレン側と硫黄側で異なること、及びスクロール構造が水素発生特性を有するなどの基礎的性質を明らかにした。 今回の研究成果は、平坦な二次元シート材料を円筒状の巻物構造に変形する新たな手法を提案するものであり、ナノ構造と物性の相関関係の解明、そしてTMDの触媒特性や光電変換特性などの機能の高性能化に向けた基盤技術となることが期待される。 同研究成果はアメリカ化学会発行の「ACS Nano」(24年1月17日付)に発表された。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240118_01web_nano.pdf |