2024年02月08日
北大、ミトコンドリア活性化細胞製造に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学薬学研究院の山田勇磨教授らの研究グループは7日、ミトコンドリアを活性化した移植用ヒト由来心筋前駆細胞(Human MITO cell)の製造に成功したと発表した。モデルラットを用いた細胞移植療法の検証実験で、「ミトコンドリア活性化ヒト由来心筋前駆細胞(Human MITO cell)」が心疾患を対象とした細胞移植療法で良好な治療成績を示した。

 細胞移植療法は、心不全に対する有望な治療法として障害心筋の再生効果が期待されているが、治療効果の向上が課題だった。研究グループは、エネルギー産生を担うミトコンドリアを活性化した移植用ヒト由来心筋前駆細胞(Human MITO cell)を製造すれば、治療効果の向上が期待できると考えた。
 Human MITO cellは、ミトコンドリア標的型ナノカプセル(MITO-Porter)を用いてヒト心筋前駆細胞(CDC)のミトコンドリアに機能性分子を送達し製造する。
 
 心筋虚血再灌流モデルラットを作成し、同細胞を用いて細胞移植の治療効果を評価した結果、心機能の改善、心筋組織の線維化を抑制する治療効果が観察できた。これらの治療効果は、静脈投与でも認められ、従来の細胞移植療法の効果を大幅に上回った。今後、細胞移植療法の臨床応用を飛躍的に加速させると期待される。
同研究成果は2月3日付の「Journal of Controlled Release」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/240207_pr4.pdf